WLBが実現できる職場風土づくり


WLBが実現できる職場風土づくり


職場風土形成は一朝一夕ではなし得ませんが、それだけに誰もが働き続けられる職場となるべく、助け合い意識や組織全体のWLB実現意識が形成されれば、企業・団体の強みとなります。
WLB実現に向けた職場風土の形成のために検討すべき課題とアクションプランの標準モデルを紹介します。

 

アクションツリー


 

課題 WLB推進のモチベーションが高まらない

原因「中間管理職がWLB実現に後ろ向きである」

  • WLB実現のために余計な仕事が増えると思っている。

  • 休暇や残業削減されると仕事が回らなくなると思っている。

改善策「管理職向けWLB研修」

管理者向けにWLBとは何かを伝え、経営戦略としての取組であることを意識してもらう研修を実施
【研修内容例】
トップからのメッセージ
WLB実現の必要性
WLB実現の事例紹介
職場の課題抽出、解決策を考えるワーク 等

運用上のポイント

  • 研修の冒頭に経営トップからWLB実現を推進することを力強く宣言していただくことで、管理職が業務の一環であることを意識します。

  • 規程等の制度整備以外にも管理職として行うべき事(職場単位の働き方の見直し、早帰りの積極的な声掛け等)があることを認識してもらいましょう。

具体的な事例等

「トップ対談を社内報で紹介」(K社:運輸業)
WLB実現に向けて女性も活躍できる職場づくりを進める同社では、職種柄、全従業員が集まっての朝礼などができないため、WLB実現に向けた社長の想いやこれからの取り組み方針を伝える手段として、社長とひょうご仕事と生活センター長とで「トップ対談」を行っていただきました。
その対談内容を社内報に掲載し、全従業員に対して発信していただきました。

 


課題 WLB推進のモチベーションが高まらない

原因「WLB実現推進が腹落ちしていない従業員がいる」

  • WLB実現による自身のメリットが見えていない。

  • WLB実現は育児や介護をしている従業員のためだけのものと思っている。

改善策「従業員向けWLB研修」

従業員向けにWLB実現は自身のためにもなることを理解してもらう研修を実施
【研修内容例】
WLB実現の必要性
WLB実現の事例紹介
労働生産性の向上とWLB実現の関係の解説
理想の職場像、自身の生活目標を描く 等

運用上のポイント

  • 理想の職場像をイメージし、労働時間削減や休暇取得向上で自身の生活で「やってみたかったこと」「やりたい事」等の目標を研修の中で考えます。

  • WLB実現は労働時間削減がゴールではなく、働き方を見直して、理想の職場を目指し、自身の仕事と生活の充実を図ることが目的であることを強調します。

 


課題 WLB推進のモチベーションが高まらない

原因「残業手当が減ると自身の生活に影響があると考える従業員がいる」

  • 労働時間の削減だけが目的であると誤解されている。

  • WLB実現による評価・処遇への対策が未整備である。

改善策「残業時間削減分を従業員や職場に還元」

残業削減目標を設定
削減された残業手当を賞与等で還元
(その他の還元方法)
ノー残業手当、課単位で奨励金、要望設備への投資 等

運用上のポイント

  • 残業時間の削減だけがゴールでないことを伝え、残業時間の削減目標達成により得られた利益を還元することを「経営計画発表」「WLB研修」等の場で明確に経営側から説明します。

具体的な事例等

「削減された残業手当を賞与で還元」(S社:情報通信業)
男女ともに残業や休日出勤は当たり前という状態で「帰りづらい」「休みづらい」といった空気が社内にまん延していました。
社長は社員の健康のために「働き方改革」をしていくことを宣言し、残業削減と有給取得率向上を同時に果たしました。また、実施当初は残業手当が削減されることに対する抵抗感もあるため、残業削減の達成度合いに応じて賞与に反映させるシステムを構築されました。

 


課題 WLB推進のモチベーションが高まらない

原因「帰ってもやることがないと考える従業員がいる」

  • ダラダラ残業を職場が黙認している。

  • 仕事以外の生活面で「やってみたい事」をこれまでじっくり考える時間がなかった。

改善策「ライフとワークの充実感を体験」

個々人でワークとライフの目標を考え、従業員全員がその目標を共有
従業員同士による定時後の勉強会やサークル活動を奨励
有給休暇とセットになった社外研修旅行の実施

運用上のポイント

  • 個々人のワークとライフの目標を設定して、その目標を社内報などで掲示すると、普段見えなかった個人の考えや趣味嗜好等を知ることができ、コミュニケーション活性化の一助ともなります。

  • 勉強会やサークル活動は従業員の自主性を尊重し、企業は場と資金の提供を行います。

具体的な事例等

「『この指とまれ』従業員主体のサークル活動」(K社:製造業)
従業員自身が興味・関心の高い活動を終業後に行えるよう、発案者(従業員)の一人がお好み焼きパーティーやアロマ委員会等のユニークなアイデアをだし、「この指とまれ」の方法で、活動メンバーを集めています。部署を超えたコミュニケーションの活性化とオフの充実が同時に図られています。

 


課題 WLB実現を目指しても、いつも形骸化してしまう

原因「WLB実現でどのような取り組みをしているのか、よくわからない」

  • 取り組み内容を一部の人で決めている。

  • 計画を作って終わりのことが多く、進捗管理できていない。

改善策「キーパーソン(推進役)の配置・育成」

部門(もしくは課)単位でWLB実現の推進役となる「キーパーソン」を選出
キーパーソンに対する研修実施
キーパーソンでアクションプラン作成し、目標等の進捗管理を定期的に実施

運用上のポイント

  • 大企業であればキーパーソンは専任チームを編成することが望ましくなります。
    中小企業であれば兼任体制となることが多いですが、兼任による業務負担軽減(業務のアウトソーシング等)や、周囲の理解促進(WLB実現によるメリット共有等)、評価へのプラス査定等の配慮をします。

具体的な事例等

センター主催「キーパーソン養成講座」
当センターでは、組織内部からWLBの実現推進活動を実践するキーパーソンの養成を目的とし、『“キーパーソン”としての必要なスキルとは?』『WLBを推進するうえで障壁となりうる課題とは、またその改善策とは?』『実践が可能なWLB推進プランとは?』等、ワークを中心に他社のキーパーソンの方々と共に学べる、参加費無料の連続講座を開講しています。

http://www.hyogo-wlb.jp/seminar-event/keyperson/index.html

 


課題 WLB実現を目指しても、いつも形骸化してしまう

原因「ルールが統一されていない、周知されていない」

  • ルールが複雑すぎて結局誰も覚えようとしない。

  • ルールが順守されているかどうか確認できていない。

改善策「WLB実現のためのルール設定」

実行委員会やキーパーソン会合等で組織全体で守るべきルールを検討・設定
(ルールの例)
会議の時間は50分以内
メールの件名に回答期限を明記
ルールが順守されているかどうかを確認できるチェックリストを作成・回収

運用上のポイント

  • ルールは単純明快であればあるほど、記憶に残ります。さらに忘れ去られないよう、チェックリストで定期的に振り返りすることがルールの定着には有効です。

  • ルールを順守できている従業員を評価・表彰することで、組織の目指している方向性を示すことができ、従業員の達成感も同時に得られます。

 


課題 WLB実現を目指しても、いつも形骸化してしまう

原因「WLB実現に取り組んだけれど、達成感が得られない」

  • 達成度を測定できる目標がない。

  • 達成したことに対する評価がない。

改善策「目標設定と評価制度整備」

実行委員会等でWLB実現度を測定できる数値目標を設定
WLB実現度がどの程度か、どのような取り組みが有効であったかを全従業員に周知
目標達成した従業員や課単位組織に対してプラス評価(表彰制度等)

運用上のポイント

  • 目標設定には「SMART原則」を適用します。
    Specific=具体的、Measurable=計測可能、Achievable=達成可能、Realistic=現実的、Time=期限の要素で目標設定をします。

具体的な事例等

「KPI(重要業績評価指標)の設定」(S社:情報通信業)
WLB実現において、生活時間も確保できるよう、いかに短時間で成果を高める取り組みがなされるかが大切なこととされています。
そのため、同社では時間当たりの生産性を高めるために分母の時間に着目して、3年間での労働時間と有給休暇取得率の目標設定を掲げられました。
なお、同社以外では、数値目標としてアンケート結果による従業員の満足度割合や女性管理職率なども指標として取れれている事例もあります。